出典:Gerd Altmann/Pixabay
こんにちは! ブログ雅です
この記事は「超高齢社会」を迎えている日本で、今問題視されている「認知症」についてまとめています。
- 認知症高齢者人口の推移
- 認知症の原因疾患
- 認知症の進行に応じた対応策
- 認知症の種類と症状
- 認知症の判定基準
- 認知症を患っている人の思い
- 認知症ケア/まとめ
認知症に対しての基本的な情報ですが、知っていれば対応や対処の仕方も変わってきます。
介護する側される側、共に心労の負担が軽減される内容となっています。
僕は介護福祉士の資格を取るため2年間学校に通いましたが、そこで実習という名目のもと「特別養護老人ホーム」や「老人保健施設」などの施設で様々な利用者も方と接する機会をもつことができました。
そこで感じたことは、ご子息の方が親の面倒をみていくことの難しさです。
どの施設の利用者さんを見ても程度の差こそあれ、ほとんどの方が認知症を発症しており「徘徊」する人や人格が「攻撃的な性格に変貌」して物を投げつける人など、認知症の理解がない人であれば戸惑ってしまうような行動障害をもつ人も多く見受けられました。
ただ利用者さん自身も認知症と葛藤していることを考えると、親子共々非常に辛い現状がそこにあるのも事実ですがまだ施設に入所させることができている人は良い方で、希望してすぐに入所できる施設はそんなに多くないようです。
超高齢社会を迎えた日本にとって、認知症高齢者を取り巻く環境の整備などがこれからの大きな課題です。
また認知症高齢者を支える周りの人も認知症について学び知識を得ることで、認知症高齢者の気持ちが理解できるようになりますから、支える側も精神的に少し楽になることに加え認知症患者と適切な関係を築けるため支援される側もストレスが軽減されます。
目次
■認知症高齢者人口の推移
出典「日本における認知症の高齢者人口の将来推計に関する研究」平成26年度厚生労働科学研究費補助金特別研究事業九州大学二宮教授より(内閣府作
グラフからも分かるように2012年度の認知症患者(65歳以上)は、462万人で高齢者の推計で15%を占める割合になっていますが2020年の現在では600万人と8年間で百数十万人増加しており、5年後には730万人に達し5人に1人が認知症を発症すると予測されています。
□認知症高齢者の年代別割合
グラフからも後期高齢者と言われる75歳から急速に増加し、80代の後半に入ると3人に一人以上が発症していることが分かります。
また糖尿病や血管疾患などの基礎疾患がある人は、認知症の発症リスクが高くなることも報告されているため注意が必要です。
■認知症の原因疾患
「アルツハイマー型認知症」や「血管性認知症」は老化と環境要因が原因の一つに挙げられていますが、特に「血管性認知症」は高血圧、脂質異常症、糖尿病、脳動脈硬化症などがあると、脳の血流が阻害され血管障害をきたすため認知症を引き起こすリスクが非常に高くなると言われています。
このため認知症の予防には、まず食生活の見直しを行い生活習慣病にかからないように注意することが大切です。
■【MCI】と認知症の進行に応じた対応策
認知症は状態により「初期」・「中期」・「後期」と分かれますがこれとは別に、通常「MCI」と呼ばれる「軽度認知障害」があります。
これは正常と認知症の境界にある状態をいい、「うつ」の症状とよく似ているため軽視しがちです。
ところがMCIの状態を放置しておくと、半数以上がアルツハイマー型認知症に進行するとのデータがあるため注意が必要です。
【MCIの診断基準】
- 記憶低下の愁訴がある
- 日常生活に支障はない
- 全般的な認知機能は正常
- 年齢に比べ記憶力の低下がある
- 認知症は認めない
- CDRのスコアが0.5
□初期の認知症への対応策
初期に起こる変化 | 対応策 |
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□中期の認知症への対応策
認知症が中期へ進行した人でも羞恥心やプライドは残っていたりしますから、乱暴な話し方や対応は避けましょう!
どうして周りのもんは、わしを邪魔者扱いするようになった
んかの?寂しいの~
中期に起こる変化 | 対応策 |
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□後期の認知症への対応策
後期に起こる変化 | 対応策 |
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認知症も後期まで症状が進み医療的ケアが必要になってくると、「終末期ケア」の段階に入ります。
「終末期ケア」は「ターミナルケア」ともいわれ、余命わずかな人に対して苦痛を緩和しながらその人の尊厳を守り、生活の質「QOL」をできるだけ維持しその人らしい生活が送れるよう医療的処置や看護を施すケアのことをいいます。
2020年より、日本終末期ケア協会が主催する終末期ケア専門士認定試験が実施されます。
医療や介護の分野で活躍中の方でさらなるスキルアップを図りたい人、その他、関連する多方面の職業に携わっている人もこれから知識の習得が求められる時代が訪れています。
■認知症の種類と症状
アルツハイマー型認知症と脳血管型認知症で、全体の約9割を占める比率になっています。
□アルツハイマー型認知症
<脳の萎縮に起因する認知症>
- 「物取られ妄想」が頻繁にみられるようになる
- ひきこもり状態やうつ状態を伴いやすい
- 認知機能が障害されるため、物事を理解して適切な判断を下すことができなくなる
- 目の前にいる人物は誰か?今いる場所はどこか?分からないといった「見当識障害」が生じる
- 3次元の図形描写が著しく困難になる
- 挨拶やにこやかな表情など人格は保持される
- 末期は寝たきり、言葉を発することができない状態になる
- 70歳以上の女性に多く少しづつ確実に進行する
- 落着きがないが多弁で屈託がない
□脳血管型認知症
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<高血圧、脂質異常、糖尿病などの基礎疾患があると発症のリスクが高まる>
- 60~70歳の男性に多く初期の段階では頭痛やめまいの症状がみられる
- 症状が良くなったり悪くなったりを繰り返しながら進行する
- 特徴的な症状として感情失禁、うつ状態、せん妄などがある
- 脳卒中を契機に発症し片麻痺や言語障害を伴う
- 物忘れが頻繁になり四肢のしびれ、肩こり、耳鳴り、不眠など症状が多彩
□レビー小体型認知症
<レビー小体といわれる異常な物質が沈着して起こる>
- 見知らぬ他人や自然の景色が突如見えてきたりする幻視体験が起こる
- 身体全体の動きが悪くなり、前傾姿勢での小刻み歩行などパーキンソン症状がみられる
- 病態の進行が比較的早い
■認知症の判定基準
一般的に多く採用されているもの
【長谷川式知能評価スケール】
認知症高齢者の日常生活自立度の判断基準にもなるもので、内容は「お歳はいくつですか?」「100から7を順番に引いてください」など9項目にわたるテストがあり、30点満点中20点以下を認知症とし21点以上が非認知症とされています。
【IADLの測定】
項目 | 得点 |
A.電話の使い方
- 自由に電話をかけることができる。(1)
- いくつかの良く知っている番号であればかけることができる。(1)
- 電話で対応できるが電話をかけることはできない。(1)
- まったく電話を使うことができない。(0)
B.買い物
- 一人で買い物ができる。(1)
- 少額の買い物であれば一人でできる。(0)
- 誰かが付き添っていれば買い物できる。(0)
- まったく買い物ができない。(0)
C.食事の支度
- 人数にあった支度をして必要十分な用意ができる。(1)
- 材料が用意してあれば食事の支度ができる。(0)
- 食事を作ることはできるが、人数にあった用意ができない。(0)
- 他人に支度をしてもらう。(0)
D.家事
- 力仕事など以外は一人で家事をすることができる。(1)
- 食事後の食器を洗ったり布団を敷くなどの簡単なことはできる。(1)
- 簡単な食事はできるがきちんとあるいは清潔に維持できない。(1)
- 他人の助けがなければ家事をすることができない。(1)
- まったく家事をすることができない。(0)
E.洗濯
- 一人で洗濯できる。(1)
- 靴下などの小さな旅ものは洗濯できる。(1)
- 他人に洗濯してもらう。(0)
F.移動・外出
- 自動車を運転したり、電車やバスを利用して出かけることができる。(1)
- タクシーを自分で頼んで出かけられるが、電車やバスは利用できない。(1)
- 付き添いがあれば電車やバスを利用することができる。(1)
- 付き添われてタクシーや自動車で出かけることができる。(1)
- まったく出かけることができない。(0)
G.服薬の管理
- きちんとできる。(1)
- 前もって飲む薬が用意されていれば自分で服薬できる。(0)
- 自分ではまったく服薬できない。(0)
H.金銭の管理
- 自分でできる(家計費、家賃、請求書の支払い、銀行での用事など)(1)
- 日常の買い物は管理できるが、大きな買い物や銀行へは付き添いが必要。(1)
- 金銭を扱うことができない。(0)
※得点は男性0~5点、女性0~8点(Lawton MP.Brody EM : Gerontologist. 9 : 179-186,1969)
最近物忘れが激しいし、認知症になったんじゃないかな?
難しいテストじゃないみたいだから、1回調べてもらったら?
”おや…”と思ったら早めに行動に移しましょう!
■認知症を患っている人の思い
出典:新・介護福祉士養成講座より
認知症で苦しんでいる人の心の叫びに耳を傾け「尊厳を保持する」接し方をしていきましょう!
■認知症ケア/まとめ
現代は核家族化が進み、老々介護を強いられている家庭も増えてきています。
認知症を患っている人の介助は肉体的にも精神的にもかなりの負担がかかりますが、基本的な考え方として「できるだけその人らしい生活が送れるよう」に支援してあげることが大切です。
介助する側も倒れてしまったのでは身も蓋もないですから、無理をせずに認知症の状態に合わせた支援を行っていきましょう。
初期の状態であれば訪問・通所介護を利用したり、分からないことがあれば「社会福祉協議会」に相談してみると良いでしょう。
また認知症の進行と共に身体機能が著しく低下してくると、咀嚼力や飲み込む機能が低下するため「ミキサー食」などに食事の形態を変えていかなければいけない場合もあります。
誤嚥を防ぐために気道がしっかり確保できる姿勢をとらせ、時間をかけて食事の介助に当たるようにしましょう。
多くの場合「老人保健施設」などの施設へ入所させるなど、専門職や医療関係者と緊密な連携をもって支えていくことになります。
出典:enriquelopezgarre/Pixabay